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後東 博 ごとう ひろし

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事例・コラム

2024/02/07 10:32

30年後、サブリース契約アパートの立退き問題その3

立退料の相場と立退き事例

 建物が老朽化してオーナー(賃貸人)の都合で入居者(賃借人)に対して立退きを要求する場合、立退料を支払わなければ「正当な理由」を認めないとする判例が多くあります

1、サブリース契約の立退き事例
 オーナーがサブリース会社に明渡しを求めたが、サブリース契約にも 借地借家法28条が適用され、「正当な理由」は認められず、立退きが認められなかった。
(令和元年11月、東京地裁)

2、サブリース契約の立退き事例
 マンションを所有するオーナーがサブリース会社に対して、契約期間満了により契約が終了したとして更新を拒絶しました。そして、オーナーが建物部分の明渡しを求めて「正当な理由」が裁判で争われました。
 サブリース会社は会社の利益や入居者(転借人)の利益の両方から建物を使用する必要性がありました。しかし、オーナーはサブリース会社から家賃を得ており、建物を使用する必要性はありませんでした。その結果、サブリース契約の契約期間満了によっても、オーナーによる更新拒絶には「正当な理由」がないと判断され、明渡しは認められませんでした。
(平成24年1月、東京地裁)

3、戸建賃貸の立退き事例
 築57年を経過した木造平屋建て戸建賃貸のオーナーから、賃貸借契約終了・建物明渡し請求をしました。また、立退料840万円を提示しました。ところが、入居者(賃借人)には自己使用の必要性があり、老朽化による建て替えの必要性も認めがたいとして、裁判では「正当な理由」が認められず立退きができませんでした。
(令和元年12月、東京地裁)

4、古ビルの立退き事例
 40年以上の築年数が経過した旧耐震建物のオーナーが4,000万円余の高額な立退料の支払いをもって「正当な理由」が裁判所により認められた。
(令和元年12月、東京地裁)

 賃貸物件ごとの裁判になったときの立退料の目安は、次の通りです。
・居住用(家賃5万円~10万円想定) 約100万円~200万円
・事務所(家賃10万円~20万円想定) 約300万円~500万円
・店舗 (家賃10万円~20万円想定) 約1,000万円~3,000万円