通常の偽造とは異なる事例です。
偽造とは文書の署名・捺印を偽ることです。本件の場合、第三者が名義人に無断で、文書である遺産分割協議書に署名・捺印したわけではないので、通常の文書偽造ではなく、むしろ文書の変造といえます。
文書の変造とは、文書の名義人に無断で文書の内容を変更することです。
変造前の文書の内容、特に遺産分割の内容は法定相続分に基づく平等な分割内容であったのが、不平等な内容に書換えられたようです。
本件の場合、有印私文書変造罪に当たるとして警察に告発することは可能ですが、変造前の文書の内容、即ち遺産分割の内容がどうであったのか不明ですので(写真、コピー等の証拠がありません)、警察が刑事事件として捜査を開始するのか疑問です。
また、一般家事調停事件として遺産分割手続の無効を主張して、遺産の一部返還を求めることは可能ですが、お兄さまは調停に応じる義務はありませんので、効果的な方法とはいえません。
そこで、遺産分割手続の無効を主張して、遺産の一部返還等を求める民事訴訟を提起し、予備的に遺留分侵害を請求し、遺留分侵害訴訟を提起するしかないかもしれません。
2023/09/13 13:49
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